引越しを終え、全ての手続き等も落ち着き、穏やかな毎日を過ごしている。
わん軍団のプチ事件が相変わらず続きつつも、庭でかけまわる軍団を眺め、微笑み、
よく日の当たる暖かな縁側にふと目をやってみる。
そこにいるはずのアンナがいない事を確かめるように…。
寝たきりで歩くことが出来なくなったアンナのベッドをこの日の当たる縁側に置こうと
この家を始めて見に来たときにそう決めた。
引越し先の慣れないにおいに、目の見えないアンナが怖がらないようにと、
新しいベッドは引越しの前に慣れさせておこうと、出かけるついでがあった日に
大き目のベッドを購入した。
1日のほとんどをベッドで過ごすアンナの床ずれが気になりだして、
ふかふかのベッドを。
気に入ってくれるかしら♪ 帰り道を急いだ。
その日のことだった。
その日がアンナが家で過ごす最後の日になった。
大きなベッドを抱えて部屋に入り、アンナに報告しようと顔を近づけると、
息遣いの荒さと、呼吸するたびに聞こえるゼェゼェという音に驚いた。
救急の時間帯になっていたけれど、アンナを抱えて病院まで車を走らせた。
検査の結果がすぐに出て、肺に水がたまっていることが解った。
数日前に糖尿病にかかっていることが解り、治療を始めたばかりだったので、
色々な不安がよぎる中、入院を余儀なくされ、付き添うよう言われた。
軽い病気や怪我であっても、入院させる場合に24時間体制で家族の誰かが
付き添う事を勧める病院なので、自分の着替えのためと、アンナの身の回りのものを
取りに一旦家へと引き返し、軍団を飼育係に頼み病院へと折り返した。
戻ってみると高濃度酸素室でスヤスヤとアンナは眠っていた。
肺にたまった水を利尿させる注射を二時間おきに打ち、点滴につながれ、
痛々しく見えるものの、アンナは到ってご機嫌に見えた。
目が見えないので時折あたしの存在を確認するかのようにキョロキョロしながら
あたしも何度も声をかけ励ました。
朝になって主治医の先生の診察を受けた時も、いつもどおりの食事をして
経過は良好のように思えた。
究極の投薬を限界まで使っている事はまだ知らなかった。
そしてその効果が現れていないことも…。
お昼過ぎには飼育係さんと交代してもらい、あたしは一旦家に戻った。
なかなか寝付けず夜まで軍団と過ごし、引越しの荷造りを進めた。
結局この日、荷造りに追われるあたしにかわって飼育係さんが朝まで
付き添ってくれる事となり、あたしは明け方やっと眠りに着いた。
翌朝、胆嚢の治療中のレオの診察もあったので、レオを連れ
朝早くに家を出てアンナの病室に向かった。
飼育係さんは一睡もしていないのに全く疲れをみせず、昨夜から数分おきに
アンナの様子をメモした紙をあたしに見せながら報告をしてくれた。
先生からの話も聞き、総合的にやはり良好ではないことを悟った。
レオの診察を終え、飼育係さんにレオを連れて帰り、少し休むように言うと、
長丁場になると思う。深刻な状態になる事があったら、その時には
あたしがついているのがいいだろうからそれまで体力温存するようにと
言ってくれた。
飼育係さんの会社の社長さんがとても理解があり、快く休みをくれたおかげで、
何日続くか解らない航海に二人で挑むことが出来た。
飼育係さんの言うことも最もで、しかも引越しを数日後に控えて、荷造りやら
やる事だらけだったので、あたしがレオを連れて家に戻った。
お昼過ぎに帰宅して、軍団達にもアンナが頑張っていることを伝えた。
アンナが頑張っている事、ヨーグルトを舐めた事、点滴や注射、
飼育係さんがこまかにメールで様子を知らせてくれた。
家に着いてから一時間の間ずっとメールのやりとりをしていて、
退院してからのアンナとの過ごし方を考えている時、また携帯がなった。
メールではなく、電話の着信だった。
偶然、愛娘のパピヨンの小梅の入院で付き添う事になり、一緒にアンナの
様子も見守ってくれていた ちるちゃんからだった。
「すぐにきて…」
言葉にならないほどの涙声で ちるちゃんがそう言う。
あたしは何も聞かず ただひと事「わかった」と言って電話を切った。
さっき置いたばかりのかばんを掴み、猛ダッシュで駐車場に走り、
無心で車を走らせた。
病院の入り口付近に車を横付けして、アンナの病室目掛けて転がるように
走って行った。
病室にたどり着く前の診察代にアンナが横たわってこちらを見ていた。
「あんな!!」
そう叫びながら手を伸ばし…
その後が、前回の日記です。
つい数時間前まで、引越し先の家の縁側でアンナをひなたぼっこさせてる
そんな光景を想像していた。
レンタルの高濃度酸素室のパンフレットを眺めながら…。
まだアンナが一度も眠っていない新しいベッドを眺めながら…。
あたしはこの日、アンナを見舞った時に、早くアンナをつれて帰りたいと
涙ぐみながら飼育係さんにつぶやいた。
だからなの?
だからアンナが…
アンナの苦しみを取り除いて欲しいと、昨夜そう祈った。
だからなの?
新しいベッドを買う為に帰宅が遅くなったことを悔やんだ。
飼育係さんに任せて帰宅した事を悔やんだ。
何もかもを悔やんだ。
糖尿だと気付かずに、何度も食事をねだって鳴くアンナを
「イケナイ!」と叱った。悔やんでも悔やみきれない。
ゴメンナサイ アンナ…
今日は、はじめての月命日。
後悔や無念さや空虚感と戦いながらも
穏やかにアンナを思う気持ちも生まれている。
でもやっぱりアンナに逢いたい…。
アンナを抱きしめたい…。
わん軍団のプチ事件が相変わらず続きつつも、庭でかけまわる軍団を眺め、微笑み、
よく日の当たる暖かな縁側にふと目をやってみる。
そこにいるはずのアンナがいない事を確かめるように…。
寝たきりで歩くことが出来なくなったアンナのベッドをこの日の当たる縁側に置こうと
この家を始めて見に来たときにそう決めた。
引越し先の慣れないにおいに、目の見えないアンナが怖がらないようにと、
新しいベッドは引越しの前に慣れさせておこうと、出かけるついでがあった日に
大き目のベッドを購入した。
1日のほとんどをベッドで過ごすアンナの床ずれが気になりだして、
ふかふかのベッドを。
気に入ってくれるかしら♪ 帰り道を急いだ。
その日のことだった。
その日がアンナが家で過ごす最後の日になった。
大きなベッドを抱えて部屋に入り、アンナに報告しようと顔を近づけると、
息遣いの荒さと、呼吸するたびに聞こえるゼェゼェという音に驚いた。
救急の時間帯になっていたけれど、アンナを抱えて病院まで車を走らせた。
検査の結果がすぐに出て、肺に水がたまっていることが解った。
数日前に糖尿病にかかっていることが解り、治療を始めたばかりだったので、
色々な不安がよぎる中、入院を余儀なくされ、付き添うよう言われた。
軽い病気や怪我であっても、入院させる場合に24時間体制で家族の誰かが
付き添う事を勧める病院なので、自分の着替えのためと、アンナの身の回りのものを
取りに一旦家へと引き返し、軍団を飼育係に頼み病院へと折り返した。
戻ってみると高濃度酸素室でスヤスヤとアンナは眠っていた。
肺にたまった水を利尿させる注射を二時間おきに打ち、点滴につながれ、
痛々しく見えるものの、アンナは到ってご機嫌に見えた。
目が見えないので時折あたしの存在を確認するかのようにキョロキョロしながら
あたしも何度も声をかけ励ました。
朝になって主治医の先生の診察を受けた時も、いつもどおりの食事をして
経過は良好のように思えた。
究極の投薬を限界まで使っている事はまだ知らなかった。
そしてその効果が現れていないことも…。
お昼過ぎには飼育係さんと交代してもらい、あたしは一旦家に戻った。
なかなか寝付けず夜まで軍団と過ごし、引越しの荷造りを進めた。
結局この日、荷造りに追われるあたしにかわって飼育係さんが朝まで
付き添ってくれる事となり、あたしは明け方やっと眠りに着いた。
翌朝、胆嚢の治療中のレオの診察もあったので、レオを連れ
朝早くに家を出てアンナの病室に向かった。
飼育係さんは一睡もしていないのに全く疲れをみせず、昨夜から数分おきに
アンナの様子をメモした紙をあたしに見せながら報告をしてくれた。
先生からの話も聞き、総合的にやはり良好ではないことを悟った。
レオの診察を終え、飼育係さんにレオを連れて帰り、少し休むように言うと、
長丁場になると思う。深刻な状態になる事があったら、その時には
あたしがついているのがいいだろうからそれまで体力温存するようにと
言ってくれた。
飼育係さんの会社の社長さんがとても理解があり、快く休みをくれたおかげで、
何日続くか解らない航海に二人で挑むことが出来た。
飼育係さんの言うことも最もで、しかも引越しを数日後に控えて、荷造りやら
やる事だらけだったので、あたしがレオを連れて家に戻った。
お昼過ぎに帰宅して、軍団達にもアンナが頑張っていることを伝えた。
アンナが頑張っている事、ヨーグルトを舐めた事、点滴や注射、
飼育係さんがこまかにメールで様子を知らせてくれた。
家に着いてから一時間の間ずっとメールのやりとりをしていて、
退院してからのアンナとの過ごし方を考えている時、また携帯がなった。
メールではなく、電話の着信だった。
偶然、愛娘のパピヨンの小梅の入院で付き添う事になり、一緒にアンナの
様子も見守ってくれていた ちるちゃんからだった。
「すぐにきて…」
言葉にならないほどの涙声で ちるちゃんがそう言う。
あたしは何も聞かず ただひと事「わかった」と言って電話を切った。
さっき置いたばかりのかばんを掴み、猛ダッシュで駐車場に走り、
無心で車を走らせた。
病院の入り口付近に車を横付けして、アンナの病室目掛けて転がるように
走って行った。
病室にたどり着く前の診察代にアンナが横たわってこちらを見ていた。
「あんな!!」
そう叫びながら手を伸ばし…
その後が、前回の日記です。
つい数時間前まで、引越し先の家の縁側でアンナをひなたぼっこさせてる
そんな光景を想像していた。
レンタルの高濃度酸素室のパンフレットを眺めながら…。
まだアンナが一度も眠っていない新しいベッドを眺めながら…。
あたしはこの日、アンナを見舞った時に、早くアンナをつれて帰りたいと
涙ぐみながら飼育係さんにつぶやいた。
だからなの?
だからアンナが…
アンナの苦しみを取り除いて欲しいと、昨夜そう祈った。
だからなの?
新しいベッドを買う為に帰宅が遅くなったことを悔やんだ。
飼育係さんに任せて帰宅した事を悔やんだ。
何もかもを悔やんだ。
糖尿だと気付かずに、何度も食事をねだって鳴くアンナを
「イケナイ!」と叱った。悔やんでも悔やみきれない。
ゴメンナサイ アンナ…
今日は、はじめての月命日。
後悔や無念さや空虚感と戦いながらも
穏やかにアンナを思う気持ちも生まれている。
でもやっぱりアンナに逢いたい…。
アンナを抱きしめたい…。
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